迂闊にも程がある

迂闊なおばさんの悲喜こもごも

4444円分の本を父へ

 

私的3連休2日目。

プロジェクトXを食い入るように見る。いつもなら土曜日はほぼ仕事なのでリアルタイムで見られるのは嬉しい。本日は「明石海峡大橋」を作った人たちのお話。

明石海峡大橋は見た事は何度かあるけれど渡った事がないので、ぜひ一度利用して淡路島でゆっくりしてみたい。

 

父のところへ。

父は相変わらずベッドに寝転んでいた。何もする事がないので仕方ないとは思う。テレビを見るしかないのか、いつも点けっぱなしだ。

父がこのホームに入居した頃はまだ自分で歩いて外出して、買い物に行ったりしていた。現金を部屋に置いてはいけないので、私が週に1度1000円札10枚を渡していた。

父のホームのすぐ近くに図書館があって「本借りて読んでみたら?」と提案したらあっさり拒否された。兄が面白いからと渡した池井戸潤氏の著書も読んだ形跡はなかった。左手が不自由なので両手で本を持ちにくいからとか何とか言っていたけど、そこは工夫次第で何とでもなるのでは?と思ったが、要するに「そんな気分」になれないって事なんだろう。パソコンでのカレンダー作りや日記も今はしていない様子だ。

 

ホワイトボードを使って問うてみた。

「本を読まない?買ってくるよ」

父、しばらく考えて頷いた。

「何がいいかな?歴史小説とかいいかな?」

「『SHOGUN 将軍』がエミー賞をとったの知ってる?」

父、素早く頷く(知ってたんや^^テレビでもやってたものね)。

「あの将軍って家康やん?あの時代辺りの歴史小説とかはどう?」

父、頷く。

柴田錬三郎とか?」

父、「柴錬やな」

「昔、家にあったよね、柴錬の本」

父、うっすら微笑む。

 

そうと決まったら話は早い。ホームの近くの書店へ行く。

ただ、柴田錬三郎の著書は置いてなかった(私が見たところ)。

そう、私は勘違いしていたのだ。柴田錬三郎司馬遼太郎を。

歴史小説を過去読んだ事もなかったし、その分野はあまり興味もなかったし、そもそも名前が似てない?

結局、司馬遼太郎の「梟の城」「覇王の家 上下巻」「太閤記 上下巻」の計5冊を購入する。合計金額が4444円(笑)。司馬遼太郎と言えば「坂の上の雲」や「竜馬がゆく」「燃えよ剣」などが有名だけれど、「坂の上の雲」はなんせ全8巻?だっけ?久しぶりの読書にはハードル高くない? 「竜馬がゆく」もまぁまぁ長い。

それにホワイトボードの会話で「SHOGUN将軍」の事も知っていたし、その時にチラッと見えた笑みが嬉しかったので、その時代らへん(笑)のがよかろうて。

 

ホームに戻ったら父は食堂で昼食中だった。相変わらず座る姿は背筋がピン!と伸びていて後姿は若々しい(笑)。部屋では靴履いたままベッドに寝転んでいるなんて誰が想像しよう?くらいの(笑)。

 

そんな父の背中を見送り、部屋のデスク上に5冊の本を置いた。

しおりに「柴錬ではなく司馬遼です。ゆっくり読んでくださいな」と書いて。

 

読んでくれるかな?

ここしばらく、必要事項的な内容の話しかしていなかったので、本の話が出来たらいいなぁ。生活の行間って言うのかなぁ、絶対的に必要ではないけどあると結構良いヨ的な、そんな会話を父としてみたい。