迂闊にも程がある

迂闊なおばさんの悲喜こもごも

光が射した日

 

私がショートメッセージで唯一やりとりしている男性から、

昨日、「明日行きます」とのメールが来た。

その数日前から簡単なやりとりはしていたのだけれど、

お相手は返信がおっとりと遅くて私はとっても待ち焦がれていたので、

やっと決まったとホッとした。

しかも、私の仕事の休みの日に来て下さるなんて3年連続の偶然の快挙。

 

約束より早く彼は来た もとい 彼らは来た。

軽トラ三台で。

 

今日はわが家のささやかな庭をお手入れしてくださるためにシルバー人材センターさんが来てくださったのだ。リーダーのHさんとは一年に一度の逢瀬。

今年もチャーミングな笑顔満開。

初めてわが家を手掛けてくださってからの長いお付き合い。

ちゃちゃっと簡単な打ち合わせをする。

もう、完全に信頼しているのでおまかせする。

 

初めてシルバーさんに連絡した時、

ほったらかしでジュラ紀か?くらいにボーボーに伸びた庭木たち。

ある日、庭のある木が倒木していた。

バッサァ~と庭の大部分を倒木が占めていて、

これは素人の手では無理すぎると思いながらも、すったもんだしてやっとの思いで連絡したのがシルバー人材センターさん。

 

初めてHさんがいらした時の事は今でも鮮明に覚えている。

倒木された樹を何とかしてもらうのはもちろんだけど、人様に庭に入ってもらうには余りにも色々と片付いておらず、テラスには出しそびれた粗大ごみもあるし、部屋から溢れ出てしまった物、そんな物をまず片付けている内に屋外なのにGが走り出してきたり、随分恥ずかしい思いをした。

 

私が

「こんなんですいません」と言うと

「奥さん、忙しかったんやなぁ?」

とHさん。

 

今、思い出しても泣ける言葉。

 

この時は適度に邪魔になりながら、一緒におしゃべりしながら作業したなぁ。

Hさんの言葉がひとっつも引っかからなくてまるかった。

作業が終わって、ジャングルみたいな鬱蒼とした庭に燦燦と光が降り注ぐ様子が忘れられない。

うちの庭ってこんなに明るいんだ。

光が射すことでこんなに広く感じられるんだ。

 

あの時の気持ちが今でもどっか残っているのか、庭のお手入れという体力的にはしんどいけどもやりがいのある作業を今でもかろうじて(笑)させてくれている。

 

Hさんはあの時、

「庭も綺麗になったら奥さんも今より綺麗になるで」

って日焼けした顔を皺だらけにして笑っておっしゃった。

今ドキならこんな発言アウト?

でも私はこの言葉が忘れられない。

 

だって、この後からただ雑草を引くだけ、伸びた枝木を切るという作業するだけの庭から、喜べる庭へとシフトしていったから。

 

私が「また来年来てな」というと

Hさんは毎年の決まり文句を発する。

 

「生きとったらな」

Hさんは米寿88歳。

初めて会った時から話口調もオヤジギャグも衰えてないけど、

私に話すときも一緒に来ているお仲間(ずいぶん年下とお見受けします)に仕事の指示を出される時もおだやかで圧がない。

たびたび笑い声が聞こえる。

だからこそ今までしてこられたんでしょう。

私には真似できないけど、こんな風にお仕事されているのって羨ましい。

 

明日から3連勤。

Hさんの皺だらけの笑顔を思い出そ(笑)。