迂闊にも程がある

迂闊なおばさんの悲喜こもごも

うれしい予定

 

滅多にない土曜日のお休み。

しかも今日から3連休。

三日間ともそれなりに予定が何か重なってしまって、私の中では盆と正月がいっぺんに来たみたいな事態ではある。

 

今日の予定は父のところへ行く、これだけ。

昨日、私の仕事が終わるのを狙っていたかのごとく、タイムカードを押した瞬間携帯の着信音が鳴り響く。父のホームからだった。

転倒したかどうかは定かではないが、目の上と額が赤くなっているとの事。

この電話の翌日、父のところへ行く予定はしていたけれど、まぁ、グッドなタイミングでおでこ打ちはったなぁと…。

 

父はベッドに横たわっていた。父の顔を覗き込むと気配に気づいたのか目を開けた。変な話、「あぁ、生きてはった」と安堵する(93歳だけに)。

 

「寝てるのにごめんな」

父は相変わらず声を出さずに指でOK👌。

 

父ベッドから起き上がる。

それが反動をつけてスパァ~ンと起き上がったのでちょっとびっくり。

 

「腹筋あるやん!」

父、にんまり。

「勢い良すぎてひっくり返るかと思ったわ」

父、これには知らん顔。

 

ベッドに座る父の横に並んで座って父の手を取りながら、

「どうしたん?何か今日はえらいしょぼくれてはれへん?」

父、笑う。

「こないだの日曜日より5歳くらい年取ったんちゃう?」

父、笑う。

「まぁ、それでも相変わらずハンサムやわ」

父、相好崩す。(笑)

 

ただでさえ広いおでこはちょっと赤くなっている程度。この件に触れると父はまたベッドに寝転んだ。追及されるのが嫌なんだろうな。ほんなら私ももう聞かない。

 

持参したみかんを剥いて、ひと房父の口に近づけるとパクッと食べた。

相変わらず暖房が効きすぎた乾燥注意報が出そうな部屋、喉も乾く。

寝転びながらの飲食はほんとはやっちゃダメなんだけど(むせたりするしね)、父が美味しそうに食べるものだから…結局ひとつ平らげた。

 

子どもと一緒やなぁと思う。

もちろん、父はひとりでみかんくらい食べられる。

でも、大人だってちょっと甘えたい時あるもんね。

 

父が転倒するのは夜寝ていて、トイレに行くために起きた時が多い。父の室内靴は兄がプレゼントしてくれたもの。介護用としてはよくある甲部分をマジックテープでとめるタイプの物だけど、片手が不自由な父はひとりで履き辛い。なので夜中のトイレに行く際は裸足or靴下のままで行っており、麻痺側の足が滑るのではないかなって思ってた。父に確認するとやっぱり靴は履かずにトイレに行ってた様だ。

 

「スケッチャーズっていうメーカーの『スリップイン』ていう靴がええんちゃうかなぁってずっと思っててん」

父、パッと目を見開く。

「靴に足を入れた時にかかとのトコが折れ曲がれへんねん」

父、聞き入っている。

「テレビでコマーシャルしてるんやけど、アレ買うとこか?」

 

さっきまで発語していなかった父が

「テレビでコマーシャルしてるなぁ」

と言う。父はその存在を知っていた。

 

もう、私は俄然嬉しい。

「そうそうそれ!足25cmやった?」

 

「25.5!」

父、即答。

めっちゃ声出てるし(笑)。

 

さっきまで指で👌しかしなかったのに、この話題には前のめり気味に食いついてくれた(寝転んだままだけど)。父もテレビコマーシャル見て気になってはったんやなぁ、何か可愛らしい。

 

しばらく行けていなかった外食(ランチ)も「また、行こな」と約束する。

父は次はチャーハンが食べたいらしい。

「えっ!? 天津飯とちゃうの?」と聞き返しても、チャーハンらしい。

 

次に時間が取れるのはちょっと先になるけど、

こんな予定はうれしい。